教育関連

2007年11月 7日 (水)

まさにリテラシーですね

昨日紹介した、宋文洲氏のコラムにも書いてあったことと関連するメディアリテラシーの向上の取り組みとも言えそうな例が、これも以前紹介した「大学プロデューサーズ・ノート」でわかりやすく取り上げられていたので、今回の記事のネタにします。

ニュースクリップ[-11/4]「企業の研究開発費、研究開発者とも増加の見通し」ほか

http://www.unipro-note.net/archives/50379018.html

ブログの管理者であるマイスター氏は毎週日曜日に高等教育関連のニュースクリップを紹介してくださっているのですが(毎回とても役に立っています)、その紹介の仕方が今回はとてもユニークでした。どこがユニークかというと、文部科学省が発表した「民間企業の研究活動に関する調査報告(平成18年度)」という報告から、全く方向性が異なる二つの記事が執筆され、公開されているという事実を紹介されています。

この報告では、企業の研究開発に関するアンケートの一環として、大学を卒業した学生の人材としての期待度と実際の能力について質問しているのですが、当然文部科学省はアンケートの集計結果だけを公開しているのですが、そこから高等教育機関における研究者育成は民間企業からどのような評価を受けているかという解説の段階になると、価値判断の問題だということが明らかになります。アンケート調査のような客観的なパーセントなどの数字で表される問題であっても、どこに注目して解説をするかによって、読者に与える印象は全く異なってくるからです。あえて類型的に考えるなら読売の記事が一般的な評価、サイエンスポータルの記事がやや政府よりな「公式見解」という感じでしょうか。なにしろサイエンスポータルは、JST(科学技術振興機構)という独立行政法人が運営しているサイトですし。

詳しい記事の内容は、リンク先から見られますのでよく読んでみてください。ただ、全く方向性の違う両者も同じこと言っている部分があります。それは企業に就職した学生が期待を上回った働きをした割合は非常に低く、何と1~2.5パーセント程度しかいないということについてです。こればっかりは、ほかの数字に比べて圧倒的に小さいので、双方の記事で企業に就職した研究者が期待を上回る成果を研究者として挙げる例は非常に稀なことがわかります。

おそらく、通常の就職をした大学生の調査であれば期待以上の実績を上げる学生は少なくとも数パーセントなどというレベルではない気がします。大学院強化という方針のもとに文部科学省は博士課程の定員増加を積極的に支持してきましたが、中身についてはすべて各大学に任せきりにしたことで結果的には質の低下を招いている気もします。まあ誰かを批判しても始まりませんが、少なくとも民間企業の研究担当の方たちからは、大学卒業(修了)したての人材に過剰な期待はできないという目で見られてしまっているということは、大学人である私たちは自覚しなくてはならないでしょう。

関係ない蛇足ですが

以前取り上げた荒木先生の講演の記事で、実際に講演の様子がさまざまなブログで取り上げられています。青学はそんなに離れてないんだから、頑張って聴きに行けばよかったかもと今更ながら思っております。ギガジンの記事のリンク先から東北大での講演の様子も分かりますので、気になる方はどうぞ。

荒木飛呂彦先生講演『損をしない漫画を描くための地図』&イベントレポートリンク集

http://atmarkjojo.org/archives/2007/2007-11-06-001503.html

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2007年10月18日 (木)

地方での医者不足が深刻です

本日は、私がいつも読ませていただいている「大学プロデューサーズノート」の記事を取り上げます。ここのところ、奈良の事件などで地方の医師が不足しているというニュースが取り上げられていますが、地方では奨学金に応募する学生すらいなくなってきているという驚くべき状況となっているようです。

敬遠される「へき地」勤務 医学部奨学金の応募集まらず

http://www.unipro-note.net/archives/50351597.html

医師の集まりにくい地域にも医科大学または国立総合大学に医学部があることが多いはずです。そのため、各地方の大学では地元で医療に携わることを条件に高額の奨学金を貸与し、返還を免除する制度を作っているところがあります。(ちなみに国立大学にはもともと授業料収入の5.8%を授業料免除に使えるように決まっています)

ところが、そのような地域で働くことを条件にした奨学金の人気があまりないという報道です。この記事を書いているマイスター氏の鋭い指摘は、確かに卒業後の研修医期間の後すぐに山間地域などにおいて、医療経験が十分といえない若手医師が活躍できるかというと不安があるはずで、もう少し長い目で見て、一定の期間勤務することを返還免除の条件にすることで若い医師の地元での活躍を促すというものです。

地方で医師が不足することに、私たちの間には今はあまり危機感がないように感じますが、今後はもっときちんとこのような奨学金の工夫や、若手の医師が奨学金免除のために来るだけではない、医師の定着を目指した制度を構築していくことが必要になってくると思います。ひょっとしたら地方の自治体は現在でもそうですがもっと高額な報酬を用意して医者を確保しなくてはならないのかもしれないですね。良い医者がいることで病人が減れば、その分の医療費が削減できるかもしれませんし(かなり楽観的な思い付きですが・・・)

ただし、地方で医師が減っているといってもすべての科目の医師が減っているわけではなく、奈良の事件のように高い訴訟リスクおよび、昼夜を問わない診療が求められる産婦人科や、小児科、外科などの担い手が少ないなど、診療科目によってなり手が少ないものもあります。そういった科目については診療報酬を増やすことで対応するという方針を政府も持っているようですが、もっと別の方法も必要になってくると思います。医者にかかるまでもない場合の相談窓口の設置など、コストをかけすぎない形で多くの人を診療することができるような仕掛け作りが必要でしょう。テレビ電話などを通して診療するシステムがあるそうですが、お年寄りが使いやすいように改良して、過疎地にまでそのインフラを整備するとか公共の力でできることは結構あると思います。

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